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起業者2人が歩いている様子

Story

起業した理由、想い、今後の展開

founder

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Re-scope & Re-building

Yu Shimabukuro

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代表 島袋 優

琉球大学農学部3年生

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Kairi Fukuhara

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代表 福原 海里

国際地域創造学部2年

Interview

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Interviewer

琉球大学在学中に「農業」をテーマとして「有機」にスポットを当てOrgaNectを創業した島袋さんと、福原さん。そんなお二人に創業までの物語をインタビューしました。

Taichi Ishihara

ーー学生で起業するのはとても珍しいと思うのですが、お二人が起業しようと思ったキッカケはありますか。

福原:僕自身は高校2年生ぐらいから「起業がしたいな」と思ってました。もともとは高校の先生になるつもりだったんです。

 

でも「やりたいことと何か違う気がする」そんな気持ちが次第に強くなっちゃって。いつのまにか「起業家ってカッコいいじゃん」と思うようになったのがキッカケですね。

島袋:「農業」が好きで「沖縄の農家さんのために何かしたい!」という想いから、お手伝いに行ったり、インターシップに行ったりしていました。

 

だけど、私が就職したり、急に関係性が途絶えちゃうとサポートが出来なくなってしまう。ボランティアだと「持続性」が無くて、それこそ無責任で農家さんにとって迷惑な話になると心の奥底でもどかしく思っていました。

 

そんなときに「ビジネスで農業の課題を解決する」という方法に出会ったんです。確か大学2年生のときですかね。そのときに「起業」という選択肢が浮かんでくるようになりました。

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――お二人はもともとお知り合いでは無かったとお聞きしています。年齢も育った環境も違うお二人の出会いはどういったものになりますでしょうか。

島袋:起業家プログラムに参加したのが出会いのキッカケです。福原は客観的に物事を見て考えたり、冷静に話をしたりするのがすごく得意。私に足りてないもの、苦手とする部分を持っているんですよね。

 

一緒に出来たらお互いの何か強みをなんか活かし合えそうと思って「やりたい。一緒にやりたい。絶対チームになりたい」ってしつこいくらい誘いました(笑)
 
福原:最初からずっーと農業のことばかり言ってたので「この人めっちゃ農業好きなんだろうな」と思ったのが第一印象です(笑)


そんな中で「農業一緒にやらない?」って言われて「いや農業かぁ」と思ったのが正直なところ。

一方で、自分自身に対しコンプレックスみたいなものがあったんですよ。周りのみんな課題感があるのに僕は何も無く起業がしたいだけ。ただ、せっかくこの沖縄で生まれ育ったからには、まずは沖縄の産業を盛り上げられる人になりたいっていう想いだけはありました。

 

島袋からの誘いをちゃんと考えたら「沖縄の産業を盛り上げたいと言ってるのに農業はやったことないです」なんて話にならない。この機会を逃したら一生農業に関われないはず。そう思い「これはチャンスだ」と僕も一緒にやりたいとパートナーを組むことになりました。

――OrgaNectは「有機栽培」や「有機農家」にスポットを当てているとお聞きしています。農業がテーマの中でも「有機」に絞った理由はなんでしょうか。

島袋:実は最初から「有機農家」であったり「有機農業」に絞っていたわけじゃないんです。もともと仲が良かった西原町の農家さん「呉屋さん」が有機栽培をしていたのがキッカケです。


呉屋さんは二千坪の畑を、毎日毎日ひとりで手入れしているパワフルな農家さんなんですが、一生懸命頑張っているのに発信力が無かったりするだけで、新しい販路先を見つけられず「収益」の部分で困っている。
関われば関わるほど、頑張っているのに報われない呉屋さんが置かれている現実を知り「呉屋さんのために何かをしたい」そんな想いばかりが強くなり「有機」というキーワードが私たちの中で大きくなっていきました。

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そのうち「呉屋さんが課題を持っているように、他の有機農家さんも同じような課題を抱えているかもしれない」と思うようになり、有機農家さんに絞って会いに行くことにしたんです。

 

インタビューを進めて行くと、推測だったものが「やっぱり、みんな似たような課題を持っている」と確信に変わりました。

福原:天候に左右されて手間暇かけたのに収穫できなかったり、規格外の作物は安く買い叩かれたりする現実にただただ唖然でした。有機農家さんが置かれている現状は相当厳しいことが分かったんですよね。

 

それなら収益の部分が改善することで一歩前に進めるんじゃないか。そこで考えたのが「農家さんのあらゆるところにマネタイズポイントを作る」というコンセプトです。

――「農家さんのあらゆるところにマネタイズポイントを作る」がコンセプトとのことですが、ここに込めた想いはありますか。

福原:ただ一口にマネタイズポイントを作ると言っても大きく分けて2つの要素があります。1つが「生産者の拡大」と「消費者の意識変革」です.​。

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Organic+Conect

島袋:生産者の拡大の部分で言えば「有機」に絞ることは、何も「有機農家さん」だけでなく、他の農家さんが持つ課題も解決すると思ったからなんです。


農家さん自身、安全・安心なものを作りたい。環境に配慮したい。そんな気持ちはすごくあるのに、そうもいかない現実が目の前にあります。


例えば、量をたくさん作ったり、大きさを揃えるために、どうしても農薬を使わざるを得ない。
そんな中で、自分たちの生活がかかっている農家さん達へ「有機がいいので有機やりましょうよ」、「有機って結構可能性ありますよ」と言うのも、無責任な話だし、農家さんからしたら「急になに?」って感じじゃないですか。「あなた達に何が分かるの?」って嫌な思いをさせてしまう。


それだったら、いま目の前で困ってる呉屋さん含めて有機農家さんたちが十分に儲かる仕組みや、農業を生業としてイキイキと出来る仕組みを作っていく。


そうすれば有機栽培を「選択肢」に出来るじゃないですか。農薬を使っているのがダメじゃなくて、それしか選択できない現状がマズいなと思って。農薬を使う方法もあれば、有機栽培で農業をする方法もある。

その上で農家さんが「選べる」のが理想だと思うんです。

福原:消費者意識の変革って難しく聞こえるかもしれません。でも、単純に消費者が有機の価値を知っていないと農家さんがどんなに頑張って作物を作り、販路を増やしても「高いね」だけで選択肢から外れてしまう。


卵が先か鶏が先かじゃないですけど、生産者の拡大をしていくためにも、消費者の意識を変えることも同時にやっていかないといけない。
この2つを念頭に置いて事業を考えることにしたんです。

――生産者の拡大と消費者意識の改革2つの柱があるとのことですが、「有機」をテーマにして取り組んだ具体的なビジネスプランはどういったものだったんですか。「マネタイズポイントを作る」がコンセプトとのことですが、ここに込めた想いはありますか。

福原:「農家さんって販路が少ない」ここが最初の出発地点でした。どうしても余った作物を安く買い取られてしまう現状がある。それなら販路を増やした方がいいなと思い、有機農家さんと野菜にこだわっている飲食店さんをマッチングするプランを考えました。


有機農家さんから出てくる「規格外の野菜」などを、形を変え価値を生み出してくれる飲食店(料理人さん)と繋げたいと考えたのが最初のスタートです。

島袋:ただ、進めて行く段階で私たちの力不足が原因で、実際には描いていた構想はまだ実現出来ていません。あのときの繋がりだったり、想いっていう部分は変わらないので、別の形で出来ないかなと考えています。

福原:出来なかった理由が手数料ビジネスになっちゃうので、手数料10%で少量の野菜を飲食店さんに届けるとなると成り立たなかったんです。母数が無いと出来ないビジネスで、いまの自分たちのフェーズでは無理だよねっていう話になって一旦断念せざるを得ませんでした。

――トントン拍子に物事が進んでいるイメージでしたが、やはり難しい部分もあるんですね。他にも苦労したことはあったりするんでしょうか。

島袋:苦労とは少し違うかもしれませんが、厳しい言葉を投げかけられることもありました。こっちは「本気で事業としてお金が回る仕組みを作りたい」と思ってるんだけど、周りからは「所詮学生がやってることでしょ」「そのうち消滅するんじゃない」と、冷たい言葉を投げかけられることはありましたね。

福原:人を紹介してもらうときに「学生団体」って紹介されたこともありました。学生団体としてはやっていない。もちろん、事業化もしていないんだけど学生団体としては思わないでほしかった。そんなこともあったなぁ。

島袋:農家さんがボソッと放った「こういう話を持ち込んでくる人、今までにもいっぱい居たよ。でも、結局いつのまにか消えていくんだよね」そんな呟きを聞いたときは心がギュッとなりました。


「私たちは違う」そう言いたくても、実績も無ければ実力も無く何も言うことが出来ない。悔しさというか言葉に出来ないもどかしさがありました。

起業者2人が大学内を歩いている様子

――こう聞くと厳しい状況だったことが伺えるのですが、心が折れたりすることはなかったのでしょうか?

福原:意外と辞めようと思ったことはないよね?

島袋:その部分は多分二人とも感覚が似てて、目の前に立ちふさがる壁や出来ないことも含めて「一つの過程」という感覚がありました。もう無理、楽しくない、嫌だ、辞めたいとは思わなくて、「それじゃあ、どうしようか」みたいな。

福原:そうそう。二人ともポジティブで、あまり落ち込まないタイプだから、心が折れるってことはありませんでした。

島袋:とは言っても、応援してくれる人たちの存在が圧倒的に大きいかもしれません。特に農家さんの存在は大きいですよね。呉屋さんから「あなたたちが居てくれて良かった」と言われたときに、「めっちゃ嬉しいな」と思って。私達からすると「いやいや、呉屋さんが居てくれて良かった」っていう話なんですよ。「もっと頑張んないとな」と、思わされましたね。だから、心が折れるってことはありませんでした。

福原:僕もビジネスとしてやっていく上で、最初の頃は「農家さんの課題を解決してあげよう」ってスタンスだったんです。でも、よくよく考えたら僕らから提供できるのって本当に少ない。

 

むしろ農家さんに教えてもらうことの方がたくさんあるし、学ばせてもらいに行っているんですよ。それが肌感覚で感じるようになったとき「解決してあげるんじゃなくて、一緒に解決するんだ」と思うようになりました。

 

どんどん「農家さんに何々してあげよう」じゃなくて「一緒にやっていこう」そんなマインドになっていきましたね。

――2021年に法人化したとお聞きしたのですが、現在の状況はどのようになっているのでしょうか?

島袋:実は農家さんと飲食店のマッチングと同時に「体験農業」っていうものを同時並行でやっていました。

「有機」をもっと身近に、もっと楽しいってところから農業に触れてもらいたいなっていう想いからはじめた取り組みです。

 

おかげさまで好評をいただいていて、いままで一般の方向けだったものを企業向けに出来ないか考えています。

福原:他にも、ミーティング中に「土って意外と価値あるよね」っていう話から生まれた商品もあります。土って山のようにあるのに、「オーガニックの土」はなかなか手に入らない。だったら「家庭菜園キット」を作ったら面白いんじゃないかと、「世界のベランダを森に」というコンセプトを掲げた商品を作りました。


有機農家さんから買い取った土を利用するので、農家さんが作物・収穫物以外のところで、マネタイズすることも出来始めています。

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島袋:そうやって、ちょっとずつちょっとずつトライ&エラーを繰り返しながら、2021年ようやくOrgaNectを法人化することが出来ました。

福原:法人化するタイミングで会社のビジョンとして、ReScope & ReBuildingという造語を作りました。照準を合わせるという意味の「スコープ」って言葉があるじゃないですか。

 

そのイメージで、まだ見えてない価値にスコープを当てる会社になりたい。そして、「再構築する」という意味のリビルディングを行っていきたいと考えています。

島袋:さっきの話でも、いままでは「土」自体に価値は無かったけど、そこにスコープを当て価値を見つけた上で「キット」にすることで再構築することができました。


このように私達という媒体を通して今まで価値が無かった所に触れていくことで、それが価値として有機的に構築されていく。無機的だったものが僕らを通して有機的な価値として再構築されていく。これからも、そんな事業を展開していきたいと思っています。

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